焚き火が好きです。
火を見ながらぼーっとする時間は、日常の中でほぼない時間です。釣りから戻ってキャンプ場で焚き火をつけると、「今日は終わった」という感覚がある。
普段の生活って、何かしら頭が動いているじゃないですか。仕事のこと、明日の予定、スマホの通知。意識して止めようとしても止まらない。それが、焚き火の前に座って炎を見ていると、いつのまにか考えごとが消えていく。薪がパチパチいう音と、顔にあたる熱と、暗くなっていく周りの景色。気づいたら何も考えていない。あの「何も考えていない」時間が、おれにとっては一番の贅沢なんだと思います。
火って、見ているだけで全然飽きないんですよね。炎の形は一秒たりとも同じにならないし、薪が崩れて火の粉が舞い上がる瞬間とか、奥のほうの薪に火が回って急に明るくなる瞬間とか、ずっと小さな変化が続いている。テレビでも動画でもないのに、目が離せない。これは実際にやってみないと伝わらない感覚だと思います。最初は「ただの焚き火に何時間も座ってられるか?」と思っていたおれが、今では火が消えるのが惜しくて薪を足し続けているんだから、人間って変わるもんです。
焚き火台の必要性
最近のキャンプ場は「直火禁止」のところが多い。地面に直接火をつけると草地が焦げたり、灰が残って環境に影響する。
焚き火台を使えば地面への影響を最小限にでき、ほとんどのキャンプ場で使用可能です。
これ、最初は「焚き火台ってわざわざ必要?地面で直接やればいいじゃん」って思っていたんですよ。道具をひとつ増やすのは荷物も増えるし、お金もかかる。でも実際に使ってみると、必要性がよく分かりました。直火だと地面の草が焦げて黒い跡が残るし、雨で湿った地面だと火がうまくつかない。何より、火が終わったあとの後始末が圧倒的に楽なんです。焚き火台なら灰がトレーに溜まるので、そのまま灰捨て場に持っていける。地面に火をつけると、燃え残りや灰が土に混ざって、片付けが本当に面倒になる。
それと、これは使ってみて初めて気づいたことなんですが、焚き火台は地面から火床を持ち上げてくれるので、火の熱が地面に逃げにくくて燃焼効率がいい。下から空気も入るから火が安定する。直火より少ない薪で長く楽しめる感覚があります。次の人がそのキャンプ場を気持ちよく使えるように、跡を残さない——これは焚き火をやる人間としての最低限のマナーでもあると思っています。「焚き火台、いらないだろ」と思っている人にこそ、一度使ってみてほしい。
焚き火台の種類
メッシュ型
軽量・コンパクト。ピコグリルなど薄型メッシュ系が人気。
バイクキャンプ・ソロキャンプに向いています。燃え崩れしやすいので、大きな薪には向かない。
おれがセローでバイクキャンプに行くときは、迷わずこのタイプです。とにかく軽くて薄いので、収納したときの体積がほとんどない。バイクは積める量に限りがあるので、焚き火台が薄いだけで荷物の自由度が全然変わってきます。デメリットとしては、メッシュの面に薪を乗せるので長く太い薪を置くとバランスが崩れて落ちやすい。だから、薪を短めに割って小分けに足していくスタイルになります。手間といえば手間ですが、こまめに薪をくべるのも焚き火の楽しみのうちだと思えば苦になりません。火床がメッシュ一枚なので、使い込むと熱で少しずつ歪んでくる。これは消耗品と割り切る部分です。
どういう人に向くか、というと「とにかく荷物を小さくしたい人」「ソロで焚き火を眺めたいだけの人」。逆に、大人数でガンガン薪をくべて大きな火を囲みたいなら向きません。
スチールプレート型
LOGOS・snowpeekなど四角いプレート型。安定性が高く、薪を多く乗せられる。
ファミリーキャンプ・グループキャンプに向きます。重量があるため車での移動前提。
家族と一緒に軽バンで行くときは、こっちを使うことが多いです。がっしりした作りで、太い薪も気にせずドンと乗せられる。火床が広いから複数本を同時に燃やせて、火が大きくなる。子どもがいると焚き火の周りで何か作業をしたり、マシュマロを焼いたりするので、ある程度の火力と安定感があったほうが安心なんですよね。風で倒れる心配もまずない。
ただ、重い。本体だけでそれなりの重量があるし、収納してもかさばる。だからバイクには絶対積まないし、徒歩で運ぶような場面でも選ばない。車に積みっぱなしにできる人向けです。あと、薄型に比べると火がつくまでの立ち上がりがゆっくりめなので、せっかちな人はイライラするかもしれません。おれは「火が育っていく過程」も含めて楽しむタイプなので、これはむしろ好きな部分です。
ステンレス折りたたみ型
収納時は平らになり、組み立てると使える。コンパクト収納と安定性のバランスが良い。
最初に焚き火台を買うなら、おれはこのタイプを一番すすめます。理由は、メッシュ型の「軽さ」とプレート型の「安定感」のちょうど中間で、ソロでもファミリーでもどっちつかずにならず使えるから。組み立ては多少コツがいるものの、慣れれば数十秒で組める。畳めば板一枚くらいの薄さになるので、軽バンの隙間にもスッと入る。「ソロもやるしたまには家族でも行く」という、おれみたいな使い方をする人には一番ハマるタイプです。最初の一台で迷ったら、これを選んでおけば大きく外しません。
薪の種類と選び方
針葉樹(杉・ヒノキ・松)
- 火がつきやすい
- 燃焼が速い(持続性は低い)
- 独特の香りがある
- 爆ぜることがあるので顔に近づけすぎない
焚き付け(火おこしの最初)に使うのが向いています。
広葉樹(ナラ・コナラ・クヌギ)
- 火がつきにくい(針葉樹との組み合わせが必要)
- 長く燃える
- 爆ぜにくく安定した火床になる
- 炭として料理に使いやすい
火が安定してから広葉樹を乗せると、長時間の焚き火になります。
針葉樹と広葉樹の使い分けは、焚き火に慣れてくると体で分かってきます。おれも最初の頃は、太い広葉樹にいきなりライターで火をつけようとして、まったく燃えなくて「なんで火がつかないんだ」と本気で悩んでいました。広葉樹は密度が高くて火持ちがいい代わりに、火がつきにくい。あれを焚き付けに使おうとするのが間違いだったんです。正しくは、細く割った針葉樹で勢いよく炎を立ち上げて、火床がしっかり熱を持ってから広葉樹を乗せる。この順番を守るだけで、火おこしの成功率が劇的に上がりました。
針葉樹が爆ぜるのも、最初は知らなくて驚きました。松なんかは脂分が多くて、燃えているとパチンと音を立てて小さな火の粉が飛ぶことがある。顔を近づけて火を覗き込んでいたら、目の前でパチッときてヒヤッとしたことがあります。それ以来、火を見るときは少し距離を取るようにしています。広葉樹は爆ぜにくいので、火が落ち着いてからのんびり眺めるなら広葉樹のほうが安心です。
薪の購入
キャンプ場で販売していることが多いですが、1束500〜1,000円と割高な場合も。
ホームセンターや道の駅での購入が安いことが多い。1泊で薪1束(広葉樹)+焚き付け用の細い薪が目安です。
ここで一つ、おれが繰り返した失敗を書いておきます。薪をケチって少なめに買って、夜の途中で薪が尽きて焚き火が終わってしまう、というやつです。火を眺めている時間は思った以上に薪を食う。一番楽しい時間帯に「もう薪がない」となるのは本当に切ない。だから今は、ちょっと多いかなと思うくらいの量を買うようにしています。余ったら次回に持ち越せばいいだけですから。逆に、現地のキャンプ場でしか薪が手に入らない場所だと割高なうえに売り切れていることもあるので、事前にホームセンターや道の駅で確保しておくと安心です。湿った薪をつかまされると火がつかなくて苦労するので、できれば手に取って軽く乾いているものを選ぶ。重くてずっしり湿気を感じる束は避けたほうが無難です。
焚き火のマナー
- 就寝前に完全に消火する(水をかけて灰が冷えたことを確認)
- 灰は捨てる場所を確認する(灰捨て場がない場合は持ち帰り)
- 風の強い日は焚き火を控える(火の粉が飛ぶ)
- キャンプ場の規則を確認する(直火禁止エリアの確認)
このあたりは「言われなくても分かってるよ」と思う人もいるかもしれませんが、おれが一番強調したいのは消火です。火を見ているうちに眠くなって、「まだ少し残ってるけど大丈夫だろう」とテントに入りたくなる。あの誘惑が一番危ない。消えたように見えても、灰の中で炭火がしぶとく生きていることがあるんです。風が出てきて、その残り火が舞い上がったら火事になりかねない。だから就寝前は必ず水をかけて、手をかざして熱がないことを確認するまでが焚き火だと思っています。最後の一手間を惜しまないこと。これだけは、面倒でも絶対にやってほしいです。
火の粉についても一つ。風の強い日は本当に火の粉が遠くまで飛びます。隣のテントに穴を開けたり、化繊の服に焦げ穴を作ったり——おれもお気に入りの上着を一着だめにしました。焚き火の近くでは燃えにくい素材の服を着るか、火の粉が飛びそうな日は無理せず焚き火を諦める判断も必要です。「楽しい」のすぐ隣に「危ない」があるのが焚き火なので、そこのバランスだけは雑にしないようにしています。
焚き火を前に飲む酒は、日常の酒の3倍うまい気がする。まぁ、楽しけりゃいいよね。
火がだんだん小さくなって、最後の熾火が赤くゆらいでいるのを見ながら飲む一杯が、おれは一番好きです。釣りで疲れた体に、ゆっくり染みていく感じ。何が特別なわけでもないのに、この時間のために遠くまで出かけているような気さえします。道具なんて凝らなくていいから、まずは小さな焚き火台ひとつから始めてみてほしい。火を前にする時間の豊かさは、きっと一度味わったら手放せなくなります。
よくある質問
Q. キャンプ場で直火はどこでもダメですか?
最近は直火禁止のキャンプ場がほとんどです。焚き火台を使えば地面への影響を最小限にできて、ほぼすべてのキャンプ場で使用可能になります。場所によっては焚き火そのものがNGのこともあるので、事前に確認するのが大事です。
Q. 針葉樹と広葉樹の薪、どう使い分けますか?
針葉樹は火がつきやすいので焚き付けに使って、火が安定してから広葉樹を足すのが基本の流れです。広葉樹は長く安定して燃えるので、焚き火を楽しみたい時間帯に向いています。1泊なら広葉樹1束+細い針葉樹を組み合わせるのが目安です。
Q. ソロキャンプには焚き火台どのタイプが合いますか?
メッシュ型か軽量ステンレス折りたたみ型が使いやすいです。収納サイズがA4以下に収まるものならバイクのサイドバッグにも入ります。ピコグリルのような薄型メッシュ系は軽さと使いやすさのバランスが良く、ソロキャンプ定番の選択肢です。
Q. 就寝前の消火はどうすればいいですか?
水をかけて完全に火を消し、灰が冷えたことを確認してから就寝します。手をかざして熱を感じなくなるまで冷えているか確認するのが安全です。翌朝に灰を捨てる場所も事前に確認しておきましょう。
Q. 焚き火に着火剤は必要ですか?
慣れれば不要ですが、最初は固形着火剤があると確実で時短になります。ファットウッド(油分の多い松の切れ端)も着火しやすくて自然素材で安心。チャッカマン(長いライター)と組み合わせると風でも火がつけやすいです。