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フィッシングベストを買う前は、腰巻きバッグに釣り小物を詰め込んで釣りをしていました。

バッグの中がぐちゃぐちゃで、ルアーを取り出すたびに引っかかる。フィッシングベストに変えてから、「なんでもっと早く買わなかったんだ」と思いました。

最初に腰巻きバッグでやっていた頃は、毛針を一本取り出すだけでひと苦労でした。チャックを開けて、奥に沈んだケースを引っ張り出して、ふたを開けて、また仕舞って。その間に魚のライズ(水面で餌を食う波紋)が止まってしまったことが何度あったか。せっかく良い流れを見つけても、道具をもたつかせているうちにチャンスが過ぎていく。あれは地味にストレスでした。

しかもバッグを腰の前に回すと、しゃがんだときに地面やヤブに当たる。渓流で岩をまたぐときなんかは、バッグが邪魔で重心が取りにくい。一度ヌルッとした岩で足を滑らせて、とっさに手をつこうとしたら腰のバッグが先に岩に当たって、危うく前のめりに転びかけたことがあります。そのとき「これは荷物を体に密着させて分散させないとダメだ」と痛感しました。

ベストに替えてからは、毛針もティペット(ハリスにあたる細いライン)もプライヤーも、見ないでも手が場所を覚えている。胸のあたりに手をやれば、いつものポケットがそこにある。釣りのテンポが一段速くなった感覚があって、これだけで一日の手返しがまるで違ってきます。


フィッシングベストのメリット

  • ポケット多数:前面・サイド・後面にポケットがあり、ジグヘッド・ワーム・ルアー・毛針・プライヤーなどを即取り出せる
  • 両手フリー:移動中も両手が空く。林道歩きや磯の移動に安全
  • 重量分散:肩・胸・背中で荷物を分散できる。腰への負担が少ない

このうち、おれが一番ありがたいと感じているのは「ポケットごとに役割を決められる」ことです。腰巻きバッグは結局ひとつの大きな袋なので、どれだけ整理しようとしても時間が経つと中で混ざる。ベストはポケットが物理的に仕切られているから、「毛針はここ」「ハサミはここ」と決めてしまえば、その秩序が崩れにくい。これは小さいようで、一日歩き回る釣りでは効いてきます。

両手フリーのありがたさも、実際に林道を歩いてみると身に染みます。渓流の入渓点まで、ヤブをかき分けたり、倒木をまたいだり、岩場を四つん這いで登ったりする場面があります。そういうとき、手で何かを持っていると本当に危ない。両手が空いていれば、とっさに木の枝や岩をつかんで体を支えられる。熊鈴を鳴らしながら片手でヤブを払って進めるのも、両手が自由だからこそです。

重量分散については、最初はピンと来ませんでした。でも、レインジャケットや予備のラインまで全部入れた状態で一日歩くと、腰一点で支えるのと、肩・胸・背中に散らすのとでは、夕方の疲れ方がまるで違う。腰巻きバッグの頃は帰り道でいつも腰がだるかったのが、ベストにしてからそれがほとんど無くなりました。荷物の総量は変わっていないのに、不思議なものです。


選び方のポイント

ポケット数と配置

最低でも前面に6〜8個のポケットがあると使いやすい。

釣り方によって入れるものが違うので、用途に合わせたポケット配置を確認してから買いましょう。

渓流釣り向け:フライケース、毛針ケース、ティペット(細いライン)が入るサイズ感が必要
海釣り向け:大きめのジグやルアーが入る深めポケット

ここで気をつけたいのは「ポケットは数より配置」だということです。おれも最初は数の多さで選びそうになりましたが、いざ使ってみると、よく使うものを取り出しやすい位置に置けるかどうかのほうが大事だと分かりました。胸の真ん中、手が自然に届くあたりに来るポケットには、一番出し入れの多い道具を入れる。具体的にはおれの場合、毛針ケースとプライヤーがそこに来ます。逆に、ほとんど使わない予備のラインや補給用の毛針は、サイドや下段でいい。

それから、ポケットのふたの開け方も確認したほうがいいです。マジックテープ式は片手でベリッと開けられて速いけれど、ヤブの枝に引っかかって勝手に開いてしまうことがある。チャック式は確実に閉じておけるけれど、片手で開けるには少しコツがいる。おれは「よく使う前面はマジックテープ、落としたくない後ろや下段はチャック」みたいに、用途で混在しているベストが結局いちばん使いやすいと感じています。実物を触れるなら、ふたを片手で開け閉めしてみてから決めるといいですよ。

素材

  • ナイロン系:軽量・撥水性があり、雨濡れに強い。ほとんどの釣りに向く
  • コットン混:通気性が高く夏に涼しい。水濡れには向かない
  • メッシュ背面:背中がメッシュで蒸れにくい。夏釣りに向く

迷ったらナイロン系を選んでおけば、まず外しません。渓流は天気が変わりやすくて、晴れていたのが急に雨という日が普通にあります。撥水性のあるナイロンなら、多少濡れても中の毛針ケースが守られるし、樹液やヤブの汚れもサッと拭けば落ちる。コットン混は触り心地がよくて夏は確かに涼しいんですが、一度ぐっしょり濡れると乾くのが遅くて、おれは渓流ではあまり選びません。

メッシュ背面の蒸れにくさは、真夏に一度試すと手放せなくなります。夏の渓流は谷あいで日陰が多いとはいえ、歩いて登っていると背中に汗がびっしり。背面が普通の生地だと、汗がベストにこもってずっと張りついた感じが続きます。メッシュだと風が抜けるぶん、休憩したときにスッと熱が逃げる。この差は地味だけど、一日の快適さにけっこう響きます。

サイズ感

フィッシングベストは試着して選ぶのがベストです。重ね着する季節と薄着の季節で着用感が変わります。

タイトすぎると動きにくく、ゆるすぎると荷物が振れる。腕を上げた状態でもストレスがないサイズを選びます。

おれが特に強調したいのは「キャスト(仕掛けを振り込む動作)の姿勢で確認する」ことです。店で試着するとき、ただ立って腕を上げるだけだとピンと来ないんですが、実際に竿を振るつもりで腕を前後に動かしてみると、脇まわりのつっぱり感が一気に分かります。テンカラは竿を立てて振る釣りなので、肩や脇が窮屈だとそれだけで疲れる。少し余裕があるくらいがちょうどいいです。

ただ、ゆるすぎてもダメで、荷物を満載にしたベストがブカブカだと、歩くたびに前後に揺れて鬱陶しい。岩を飛んで渡るときに荷物が振られると、重心がブレて危ない場面もあります。理想は「軽く前傾しても荷物が体に沿って動かない」くらいのフィット感。試着のときは、できれば想定する重さの近いものをポケットに入れさせてもらって、その状態で動いてみるのがおすすめです。おれは一度、薄着で試着してジャストサイズを買ったら、冬にフリースを重ねたら入らなくて買い直したことがあります。重ね着する季節を基準にワンサイズ見ておくと、こういう失敗を避けられます。


おれのベストに入っているもの

参考までに、おれが渓流テンカラに行くときの中身を全部書き出してみます。これが正解というわけではなくて、長いこと釣りをしているうちに「これは要る」「これは要らなかった」を取捨選択して、今このかたちに落ち着いたという感じです。最初の頃はあれもこれもと詰め込んでパンパンにしていましたが、結局使わない道具が多くて、年々減ってきました。

渓流テンカラ釣りのときは:

前ポケット上段

  • 毛針ケース(10本程度)
  • ティペット2サイズ
  • プライヤー(ハリ外し兼用)

前ポケット下段

  • 予備ライン(テンカラライン)
  • ハサミ
  • サビキ止め(テンカラ糸の交換セット)

サイドポケット

  • 補給用の毛針・ライン
  • ティッシュ
  • 熊鈴

後ろポケット(大型)

  • レインジャケット(圧縮収納)

毛針ケースを前ポケット上段に置いているのには理由があって、テンカラは毛針を交換する回数がとにかく多いからです。流れや魚の反応を見ながら、沈める毛針と浮かせる毛針を頻繁に付け替える。その都度バッグの奥を探っていたら釣りにならない。だから一番手の届く位置に固定しています。プライヤーを同じ段に入れているのも、根掛かりを外したり、飲まれたハリを外したりで、これも出番が多いから。よく使うものほど上、というのが基本の考え方です。

熊鈴をサイドに入れているのは、渓流に入る前にベストから出して腰やザックに付け替えることが多いからです。歩いているときは鳴らしたいけど、釣り座でじっとしているときはチリチリ鳴ると気が散る。だから付け外しのしやすい場所に置いています。ティッシュは、手が魚や毛針のヌメリで汚れたときにサッと拭くのに地味に重宝します。

後ろの大型ポケットにレインジャケットを圧縮して入れているのは、渓流の天気の急変に備えるためです。山の天気は本当に読めなくて、午前は快晴だったのに昼過ぎに谷を雲が覆って、ザッと降ってくることがある。濡れて体が冷えると一気に集中力が落ちるし、最悪は低体温につながる。かさばるけれど、これだけは外せない装備です。逆に言うと、後ろポケットさえ確保できればザックを背負わずにすむので、おれはランガン(歩き回る釣り)のときはベスト一枚で済ませることが多いです。

全部ベストに入ると、ランガン(歩き回る釣り)のときに身軽です。両手が空いて、必要なものが全部体に付いている。この身軽さを一度味わうと、もう腰巻きバッグには戻れません。


ライフジャケット兼用ベスト

渓流でウェーディング(川の中に入って釣る)をする場合、フローティングベスト(浮力体入りの釣りベスト)を選ぶと安全性が上がります。

転倒して流された際の浮力確保になる。

渓流の流れは、見た目よりずっと力があります。膝下くらいの深さでも、流れが速いと足を取られる。おれも一度、何でもない瀬で足を滑らせて尻もちをついたことがあって、たいした深さじゃないのに、立ち上がろうとすると流れに押されてなかなか踏ん張れなかった。あのとき初めて「これがもっと深かったら、流されていたかもしれない」と背筋が寒くなりました。それ以来、川の中に入る釣りでは浮力体入りのベストを選ぶようにしています。

浮力体入りといっても、最近のフローティングベストは普通のフィッシングベストと同じようにポケットがしっかり付いていて、収納力は犠牲になりません。少し厚みが出るぶん夏は暑く感じることもありますが、安全には代えられない。「川に入らない、岸からだけ」という釣りなら無理に必要ないですが、少しでもウェーディングするなら、おれは最初から浮力体入りを選んでおくことをおすすめします。後から「やっぱり要る」と買い替えるより、最初に一本でまかなえたほうが結局お得ですしね。


フィッシングベストは、突き詰めれば「道具を整理して、両手を空けて、荷物を体に密着させる」ためのものです。機能はシンプルですが、それが渓流のランガンや磯の移動みたいに動き回る釣りでは、釣果にも安全にも効いてくる。だから選ぶときは、デザインより先に「自分の釣りでよく使う道具が、取り出しやすい位置に収まるか」を考えるのがいいと思います。

それから、フィッシングベストを着て釣り場に向かうと、なんとなくかっこいい気分になる。ポケットに道具が収まって、両手が空いて、これから釣るぞという気持ちになる。実用一辺倒で語ってきましたが、正直なところ、この「気分が上がる」っていうのも道具選びの立派な理由だと思っています。まぁ、楽しけりゃいいよね。


よくある質問

Q. フィッシングベストは腰巻きバッグと何が違いますか?

一番の違いは小物の取り出しやすさです。腰巻きバッグは中でルアーが引っかかってぐちゃぐちゃになりやすい。フィッシングベストはポケットごとに収納を分けられるので、必要なものをすぐ取り出せます。両手フリーで移動できるのも大きい。

Q. フィッシングベストのポケットは何個あれば足りますか?

前面に6〜8個あれば十分だと思います。多すぎてもどこに何を入れたか分からなくなる。釣り方に合わせた配置を確認して、よく使う道具を前面の取り出しやすい位置に入れることが大事です。

Q. 渓流釣りと海釣り、ベストの選び方は違いますか?

ポケットのサイズ感が違います。渓流釣りはフライケースやティペットが入るコンパクトなポケットが多いものが向いています。海釣りは大きめのジグやルアーが入る深めのポケットが必要。どっちでも使いたいなら汎用性の高いナイロン系で前面8ポケット以上のものが無難です。

Q. 渓流でウェーディングするときはフローティングベストが必要ですか?

川の中に入る釣りをするなら絶対にあったほうがいいです。転倒して流されたときの浮力確保になります。おれは渓流釣りのときはフローティングベスト一択にしています。桜マーク付きを選ぶと品質が保証されていて安心です。

Q. フィッシングベストのサイズはどう選べばいいですか?

試着できるなら必ず試着してください。重ね着する冬と薄着の夏で着用感が変わります。腕を上げた状態でもストレスがないサイズが正解。タイトすぎると動きにくく、ゆるすぎると荷物が揺れて気になります。

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