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釣れた魚をその場で食べる。これがバイク釣行・車中泊釣行の最大の楽しみのひとつです。おれの場合、正直に言うと釣りそのものより、釣ったあとのこの時間のために出かけてる節があります。

スーパーで買った魚ではなく、自分で釣った魚を料理するという体験は特別で、同じレシピでも味が違います。これは気のせいじゃないと思っていて、釣り上げてから口に入れるまでの時間が短いほど身が締まっているし、なにより「さっきまで泳いでたやつを自分でさばいた」という記憶が調味料みたいに乗ってくる。同じアジでも、夕方に相模湖から少し足を伸ばした管理釣り場で釣った魚を、暗くなりかけたサイトでジュージュー焼いて食べると、もう値段のつけようがない味になります。

最初に正直なことを書いておくと、おれは料理が得意なほうではありません。家では妻にまかせきりだし、包丁も年に何回か釣り場で使うくらい。だからここで紹介するのは「料理上手じゃない人間が、最小限の道具で失敗せずに魚を食べる方法」です。凝ったことはしません。それでも釣りたての魚は十分すぎるほどうまい。むしろ手をかけすぎないほうが素材が立つ、というのが10年以上釣りをやってきての実感です。


最小限の調理道具

シングルバーナー1台でできる料理に絞ると、荷物が劇的に減ります。これは軽バンで動くようになってから余計に意識するようになったことで、ハイゼットカーゴは荷室こそ広いけど、調理道具を増やせばその分だけ釣り道具やポータブル電源の置き場所が圧迫される。だから「魚を焼く・切る」の二つができれば十分、という割り切りに落ち着きました。

必要なもの:

  • シングルバーナー(SOTO or プリムス)
  • クッカー or フライパン(小型・軽量)
  • 折り畳みまな板
  • 包丁(フォールディングナイフでも可)
  • 調味料(塩・醤油・みりん・サラダ油の小瓶)
  • キッチンペーパー

このリストを見て「少なすぎない?」と思う人もいると思います。おれも最初はそう思って、コンロを二口にしたり、本格的な包丁セットを持ち込んだりした時期がありました。でも結局、車中泊釣行を3〜4年続けてわかったのは、道具が多いと出すのも片付けるのも面倒になって、せっかく釣った魚を「もう焼くだけでいいや」で済ませてしまうということ。荷物を減らしたほうが、皮肉なことに料理を楽しむ回数は増えました。

バーナーはSOTOかプリムスを挙げましたが、これは火力の安定が理由です。風の通る河原や磯ぎわで使うことが多いので、風に弱いバーナーだと火が安定せず、焼きムラが出る。風防を立てるのも手ですが、もともと風に強い構造のものを選んでおくほうが楽です。包丁は釣り場用にフォールディングナイフを一本持っておくと、まな板と一緒にコンパクトに収まります。切れ味が落ちると魚の身を潰してしまうので、出発前に軽く研いでおくのだけは忘れないようにしています。調味料は使い切りの小瓶に詰め替えて、塩・醤油・油の三つだけあれば塩焼きも醤油バターもいける。みりんは正直なくてもなんとかなります。


レシピ1:塩焼き

最もシンプルで確実においしい料理です。迷ったらこれ、というのがおれの結論で、釣り場で失敗したくないなら塩焼き一択でいいと思っています。理由は工程が少ないから。火加減さえ気をつければ、料理が苦手でもまず失敗しません。

作り方

  1. 魚のウロコを取る
  2. 内臓を取り除く(頭を切ってもOK)
  3. 両面に塩を振って5〜10分置く
  4. フライパンに薄く油を引き、中火で焼く
  5. 片面5〜8分ずつ、焦げ目がついたら完成

工程を書き出すと簡単そうですが、おいしく焼くにはちょっとしたコツがあります。まず塩を振ってから置く5〜10分。これを面倒くさがって省くと味がぼやけます。塩が水分を引き出して、その水分をキッチンペーパーで拭き取ることで、生臭さが抜けて身が締まる。この一手間があるかないかで仕上がりが別物になります。おれは昔これをすっ飛ばして、塩を振ってすぐ焼いて、なんだか水っぽくて生臭い塩焼きを量産していました。

火加減は中火を守るのが大事です。早く食べたくて強火にすると、表面だけ真っ黒で中が生、という一番がっかりするパターンになる。これは何度もやりました。皮目から焼いて、じっくり時間をかけて、焦げ目がついたら返す。フライパンに蓋があるなら、返したあとに蓋をして弱めの中火で蒸し焼きにすると、中までふっくら火が通ります。シングルバーナーは火が一点に集中しやすいので、ときどきフライパンを回して当たる場所を変えてやると焼きムラが減ります。

向いている魚

アジ・サバ・キス・ハゼなど。皮がパリッと焼けると香ばしくて最高。

このあたりの魚は身に適度な脂があって、塩焼きにすると皮の香ばしさと身のうまみが両立します。アジは関東近郊の堤防でもよく釣れるので、おれの釣り飯の登場回数も一番多い。キスやハゼは身が淡白なぶん塩焼きの素朴さがよく合います。サバは脂がのっているぶん焼くと最高にうまいんですが、後述するとおり傷みが早いので、釣れたらすぐ締めて冷やすのが前提です。逆に大型の青物みたいに身の厚い魚は、火が通るまで時間がかかってシングルバーナーだと持て余すので、釣り場では切り身にしてから焼くか、別の調理法にしたほうが楽です。小さめの魚を丸ごとパリッと焼く、これが現地調理では一番ハマると思っています。


レシピ2:刺身

釣ったばかりの魚の刺身は格別の鮮度です。スーパーの刺身がどうこうという話ではなくて、釣り場でしか味わえないレベルの鮮度がある。釣ってから30分後の魚を切って食べる、なんてことは自分で釣らないと一生できません。これをやりたくて釣りを始めた、という人がいてもおかしくないと思います。

作り方

  1. 魚の頭を切る
  2. ウロコを取る(ウロコがある場合)
  3. 三枚おろしにする
  4. 皮を引く
  5. 薄く切る
  6. 醤油・わさびで食べる

正直に書くと、刺身は塩焼きよりハードルが高いです。三枚おろしと皮引きという、慣れが必要な工程が入るから。おれも最初の頃は身をボロボロにしてしまって、刺身のつもりが「魚のかけら」みたいになったことが何度もあります。でも失敗してもうまいのが釣りたての魚のすごいところで、形がいびつでも味はちゃんとうまい。だから最初は見た目を気にせず、まず切ってみることをおすすめします。

三枚おろしのコツは、包丁を中骨に沿わせて、押し引きせずスーッと滑らせること。力を入れると身が潰れます。皮引きは皮を下にして、まな板に押し付けながら包丁を寝かせて引くと、薄い包丁でもきれいに剥がれます。釣り場のまな板は不安定なことが多いので、平らな場所を選んで、まな板の下に濡らしたキッチンペーパーを一枚敷くと滑り止めになって作業が安定します。これは現地で何度も滑らせて学んだ小さな工夫です。

向いている魚・鮮度について

刺身は鮮度が命。釣ったその日の魚を使います。

アジ・サバは当日中が基本。サバは特に傷みが早いので、釣れたら早めに締めて内臓を取り、クーラーボックスで保冷することが大事です。

ここはおれが一番気をつけているところで、刺身に関しては「うまさ」より先に「安全」を優先します。傷んだ魚の刺身でお腹を壊したら、せっかくの釣行が台無しどころか、下手したら翌日まで響く。だから少しでも鮮度に不安があるとき、たとえば締めるのが遅れたとか、保冷が甘かったなと感じたときは、潔く刺身をあきらめて塩焼きや醤油バターに切り替えます。火を通せばリスクはぐっと下がる。「刺身で食べたいから無理する」のだけは絶対にやりません。

サバについてもう一度書いておくと、サバの生食は身近なわりにリスクがあるので、自信がないなら無理に生で食べないこと。釣れた瞬間からどんどん鮮度が落ちていく魚なので、おれは堤防で釣れたら真っ先に締めて、内臓を抜いて、クーラーの氷水に放り込みます。この一連の動作を「釣れてから何分でやれるか」が刺身の可否を決めると思っていて、もたもたしている日は最初から塩焼き前提で動きます。鮮度に迷ったら火を通す——これが現地で安全に魚を楽しむうえでの、おれなりの一番大事なルールです。


レシピ3:醤油バター焼き

刺身や塩焼きに飽きたときのバリエーションです。連泊の釣行とか、同じ魚が何匹も釣れた日に、味を変えたくて覚えた料理です。塩焼きが素材の味で勝負するのに対して、こっちはバターと醤油の香りで「ごちそう感」を出せるのが強み。子どもがいる釣行だと、息子がこの醤油バターを一番喜びます。塩焼きより食いつきがいい。

作り方

  1. 魚を三枚おろしにする(または切り身)
  2. 塩・コショウで下味をつける
  3. フライパンにバター(またはサラダ油)を熱する
  4. 皮面から焼き、8割火が入ったら返す
  5. 醤油を少量回しかけて仕上げる

この料理で一番やりがちな失敗が、醤油を入れるタイミングです。早く入れすぎると醤油が焦げて苦くなる。おれは何度も焦がしました。だから醤油は「仕上げ」と覚えておくのが大事で、火を止める直前にサッと回しかけて、余熱で香りを立たせるくらいがちょうどいい。バターも同じで、最初から高温で溶かすと焦げて茶色くなるので、油で焼いて、最後にバターを落として香りづけにするやり方のほうが失敗が少ないです。

下味の塩コショウは振りすぎないこと。醤油でしっかり味がつくので、下味は身を引き締める程度の軽さで十分。皮面から焼くのは塩焼きと同じで、皮をパリッとさせると食感の楽しさが出ます。切り身でやるときは厚みを揃えておくと火の通りが均一になって、生焼けや焼きすぎを防げます。シングルバーナー一台でも、フライパンを傾けて溶けたバターと醤油を身にまわしかけてやれば、それっぽい照りが出ます。

向いている魚

シーバス・チヌ・キジハタ・アイナメなど白身系。バターと醤油の香りが白身魚によく合います。

白身系の魚は身が淡白で脂が少ないぶん、バターのコクと醤油の香ばしさを足してやると一気に化けます。逆に言うと、塩焼きだと少し物足りなく感じる魚ほど醤油バターが向いているということ。シーバスやチヌは関東でも釣れる機会が多くて、塩焼きだと身が大きすぎて持て余すことがあるんですが、切り身にして醤油バターにすると食べやすくてうまい。キジハタやアイナメは根魚らしいしっかりした白身で、これも醤油バターとの相性が抜群です。アジでも作れますが、おれの好みではアジは塩焼きのほうが完成度が高くて、醤油バターはやっぱり白身系で本領を発揮する印象です。脂の少ない魚をワンランク上の一皿にしたいとき、この料理を覚えておくと釣り飯の引き出しがぐっと広がります。


現地での衛生管理

釣れた魚をおいしく食べるためには衛生管理が重要です。料理の腕より、じつはここが一番大事だとおれは思っています。どれだけうまく焼いても、捌く環境が汚かったらお腹を壊すリスクが上がるし、ゴミの始末が雑だと釣り場やキャンプ場に迷惑がかかる。長く釣りを続けたいなら、ここを面倒くさがらないこと。

  • 捌いたあとの血・内臓は持参のビニール袋に入れて持ち帰る(水に流さない)
  • まな板は使用後に清潔にする
  • 手の洗浄:携帯用除菌ジェルを持参すると水がなくても対応できる

血や内臓を水に流さないのは、水質を守るためでもあるし、においで野生動物や虫を寄せないためでもあります。山あいの渓流や林道沿いのサイトだと、生ゴミのにおいは思った以上に遠くまで届く。おれはジップロックを二重にして口をしっかり縛り、クーラーの隅に入れて持ち帰っています。におい漏れがほぼなくなるので、車中泊で車内に置いても気にならない。

まな板は、釣り場では水が貴重なことが多いので、捌く前にラップを一枚敷いておいて、終わったらラップごと捨てるという手もあります。これなら洗う水がほとんど要らない。除菌ジェルは手だけでなく、包丁やまな板を軽く拭くのにも使えるので、一本持っておくと衛生面でかなり安心できます。料理を始める前と魚を触ったあと、こまめに手を清潔にする——この当たり前のことを現地でちゃんとやれるかどうかが、安全に釣り飯を楽しめるかの分かれ目だと感じています。


釣れた魚で作った料理は、スーパーの魚では絶対に出ない味がします。塩焼き・刺身・醤油バターの三つを覚えておけば、たいていの魚はおいしく食べられるし、道具もシングルバーナーひとつで足りる。凝ったことをしなくていい、というのが10年以上やってきての結論です。

最初は身を潰したり醤油を焦がしたりして、うまくいかない日もあると思います。でもそれも込みで楽しいのが釣り飯で、失敗した塩焼きでも釣りたてなら十分うまい。気負わずに、まずは小さい魚を一匹さばいて焼いてみてください。きっとクセになります。まぁ、楽しけりゃいいよね。


よくある質問

Q. シングルバーナー1台でできる魚料理でおすすめはどれですか?

塩焼きが一番シンプルで確実においしいです。ウロコと内臓を取って塩を振って焼くだけなので失敗が少ない。クッカーかフライパンがあればすぐできます。慣れてきたら醤油バター焼きもバターと醤油の香りがたまらなくておすすめです。

Q. キャンプ場で刺身を食べてもいいですか?安全上の注意は?

釣ったその日の魚なら問題ないです。大事なのは鮮度で、釣れたらすぐに締めてクーラーボックスで冷やしておくこと。サバは特に傷みが早いので当日中が絶対条件です。まな板と包丁を清潔に保って、切ったらすぐ食べることを意識しています。

Q. 釣れた魚の内臓などのゴミはどう処理すればいいですか?

捌いたあとの血や内臓は持参したビニール袋に入れて持ち帰るのが基本です。水に流すのは水質汚染につながるのでやりません。おれはジップロックを2重にして持ち帰ります。キャンプ場によってはゴミ捨てのルールがあるので、事前に確認しておくとトラブルを防げます。

Q. 醤油バター焼きに向いている魚はどんな魚ですか?

シーバス・チヌ・キジハタ・アイナメなど白身系の魚が特に合います。バターと醤油の香りが白身魚の淡白な風味をうまく引き立てます。アジも醤油バターで焼くとおいしいですが、個人的には塩焼きよりも白身系の方が完成度が高い印象です。

Q. キャンプで魚料理をするときの最低限の道具は何ですか?

シングルバーナー、軽量フライパンまたはクッカー、折り畳みまな板、包丁(フォールディングナイフでも可)、塩・醤油・油の小瓶が最低限です。このセットがあれば塩焼きから刺身まで対応できます。あとキッチンペーパーと除菌ジェルがあると衛生面で助かります。


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