3年くらい前の冬、僕は人生で一番みじめな夜を軽バンの中で過ごしました。
震えながら夜明けを待っていたあの時間、「もう二度と冬の車中泊なんてやるか」って本気で思ってた。
でも今は毎年やってます。おかしいですよね。
最初の夜の話をします(黒歴史)
12月の金曜の夜。仕事終わりにそのまま高速乗って、海沿いの釣りポイントへ向かいました。
「冬のメバルは型がいい」って先輩に聞いたのが運のつき。
持って行ったのは、家にあったふかふかの布団1枚と、ホームセンターで買った1,980円のシュラフ。「これだけあれば余裕でしょ」って思ってた。
余裕じゃなかった。
夜中の1時ごろから体の下がジワジワ冷えてくるんです。背中が鉄板みたいに冷たい。
丸まっても冷たい。ヒーター入れても30分で戻る。これを何回繰り返したかな。
気がついたら夜が明けてました。
釣りに行く体力もなく、震えながら東の空を眺めていた。朝マズメ、見てるだけ。
時給換算したらどうなんだよ、って話なんですけど、あの日の僕は「なぜ寝られなかったのか」を本気で調べました。帰り道ずっとそれ考えてた。
寒さの正体、3つあります
ひとことで言えば「下」「隙間」「保温力」の3つが全部ダメだった。
下からの冷気が一番やばい。軽バンの床って鉄板1枚ですからね。地面の冷たさがダイレクトに背中に来る。どんないい寝袋でもこれには勝てない。
隙間は窓。ガラスって思った以上に冷たくて、サンシェードなしだと体感2〜3℃は変わります。
保温力はシュラフの問題。1,980円のやつは夏用だったんですよね。そりゃ冬は無理です。
解決策を1個ずつ潰していったのが、その後3年間の記録。
まずマットを買い替えた(5cmは無理)
最初に疑ったのは寝袋だったんですよ。でも調べてるうちに「下のマットが一番重要」って情報ばかり出てきて。
「そんなわけないやろ」と思いながら、とりあえず10cmのエアマットを試してみた。
…世界が変わりました。
下が暖かいだけでこんなに違うのか、って。寝袋の中で体が縮こまらない。ちゃんと伸びられる。
5cmで耐えようとしてた自分、がんばったね、でもそれは無理だよ、って言ってあげたい。
ちなみに下に100均の銀マット1枚追加するとさらにいいです。2枚重ねが冬の鉄板構成。合計コストで言えば全然たいしたことない。
窓を全部塞いだら3℃変わった
これはほぼ「やるかやらないか」の話です。
最初は運転席と助手席だけシェードしてた。後ろは「夜だし誰も見てないやろ」って。
それが大間違い。
全窓塞いで一晩過ごしてみたら、体感温度が全然違う。「あ、窓って冷気の入口だったんだ」ってはじめて実感した。
車種専用品が隙間ゼロで綺麗にはまるのでおすすめ。だいたい5,000〜8,000円くらい。オンリースタイルの車中泊専用シェードは軽バンとの相性が良かったです。車種対応品があるかは公式ページで確認してみてください。
寝袋は「快適温度」で選ぶ。最低温度は罠
寝袋のスペックを見ると「最低使用温度○℃」って書いてあるじゃないですか。
あれ、信じちゃダメです。
最低使用温度っていうのは「この温度で死なない」ラインであって、快適に眠れる温度じゃない。寒さで縮こまりながらなんとか朝を迎えられる、ってレベル。
見るべきは「快適温度(コンフォート温度)」。
2年目の冬、思い切ってモンベルのダウンハガー650 #1を買いました。定価で3万円くらいする。
「高いな…」と1ヶ月悩んで、買ってよかった、と今でも思ってます。もう4年目。フリースのインナー1枚追加すれば外気マイナス3℃くらいは普通に寝られる。
予算が厳しいならコールマンのタスマンキャンピングマミー(快適温度マイナス5℃、1万円ちょい)でも十分戦えます。ちょっとかさばるけど、僕も最初の1年はこれで乗り切った。
「あ、寝られた」ってなった朝の話
マット・シェード・寝袋を全部揃えた2年目の冬。伊豆へ行きました。
出発の前日、つりナビで潮の時間だけ確認しました。「朝5時前後が潮の動くタイミング」。それだけで計画が立てやすくなった。アラームは4時半にセット。
シュラフに入って待つ。冷気が来るはずのタイミング。
来ない。
「あれ?」
気づいたら朝の4時45分でした。アラームより15分早い。外はまだ星が見えてた。
息は真っ白で空気は刺さるように冷たいのに、体は全然寒くない。なんか変な感じがして、しばらくシュラフの中でぼーっとしてた。
一投目からカサゴが釣れました。23cm。小さい。でもあの日の僕にはトロフィーサイズ。
冬の朝マズメって、人が少ないんですよね。夏だと混んでる磯場も、12月の5時なんてほぼ貸し切り。静かな海で一人で竿を振る時間、あれが最高なんです。
装備を揃えるだけでこの体験ができる。そう思うと、マット1個6,000円も高くない気がしてくる。
電気毛布使いたいならポータブル電源
3年目から「もう少し楽したい」と思って、ポータブル電源を導入しました。
電気毛布が使えるようになります。
これの何がいいかって、「体温で温める」から「外から温める」に変わること。寒がりの人には革命的な変化です。
シガーソケットで電気毛布を使うのは、バッテリー上がりのリスクがあるのでやめた方がいい。ポータブル電源があれば安心して使えます。
ガスストーブを車内で使うのは本当にダメです。一酸化炭素中毒で死ねます。「窓開けてれば大丈夫」も通じない。寝てる間は判断できないので。電気一択。
電気毛布本体はコイズミの安いやつ(3,500円くらい)で十分。タイマーあるとさらに快適。
嫌そうにしてた妻が爆睡した話
去年の3月、妻と小学生の息子を連れていきました。
妻の最初の反応、「え、やだ」でした。正直すぎる。
「寒いんでしょ。狭いんでしょ。トイレどうするの」って質問攻め。全部もっともな疑問。
「装備揃えたから大丈夫」「絶対楽しいから」って半強制的に連れ出した。
翌朝、僕が釣りに行く準備してたら、二人ともまだ寝てた。
「……爆睡じゃないか」
息子は帰ってから「秘密基地みたいだった!また行きたい!」って言った。妻は「思ってたよりぜんぜん大丈夫だった」と。
あの初回の「一睡もできなかった夜」から3年。同じ軽バンで、今度は家族3人が朝まで熟睡してる。
装備って、信頼だなと思いました。
まとめというか、ざっくりした優先順位
| 装備 | 価格目安 | 優先度 |
|---|---|---|
| エアマット 10cm | 6,000円くらい | まず買う |
| 車種専用シェード | 5,000〜8,000円 | 次に買う |
| ちゃんとした寝袋 | 10,000〜33,000円 | 絶対買う |
| ポータブル電源 | 50,000〜80,000円 | 2年目でいい |
| 電気毛布 | 3,500円くらい | 電源と一緒に |
最初の3つが揃えば「冬の車中泊、いける」ってなります。ポータブル電源は余裕ができてからで十分。
あの震えながら夜明けを待ってた自分に、早くこれを教えてあげたかった。
良い朝マズメを。
関連記事: ポータブル電源3台比較(Jackery・EcoFlow・BLUETTI) / 冬の釣りの防寒対策まとめ
よくある質問
Q. 冬の車中泊で一晩中寝られない原因はどこにある?
主に3つです。①床からの冷気(軽バンの床は鉄板1枚で地面の冷たさがダイレクトに来る)、②窓からの冷気(ガラスは想像以上に冷えてサンシェードなしで2〜3℃差が出る)、③寝袋の保温力不足(安い夏用シュラフでは冬に対応できない)。どれか1つ改善しても残りが足を引っ張るので、3つ同時に対策するのが近道です。
Q. 車中泊用マットは5cmと10cm、どちらを選べばいい?
迷ったら10cm一択です。車中泊マットの役割は「下からの冷気を遮断すること」で、5cmだと冷気の遮断が不十分で夜中から背中が冷えてきます。10cmにしてから世界が変わったと実感できるくらい差があります。さらに下に100均の銀マットを1枚追加するとより効果的です。
Q. 寝袋の「最低使用温度」を信じていい?
信じてはいけません。「最低使用温度○℃」というのは「この温度で死なない」ラインで、快適に眠れる温度ではありません。選ぶべきは「快適温度(コンフォート温度)」の方。外気温より5〜10℃余裕のある快適温度の寝袋を選ぶと冬でも普通に眠れます。
Q. 車中泊でガスストーブを使って暖を取ってもいい?
絶対にNGです。車内でガスストーブを使うと一酸化炭素中毒で死ぬリスクがあります。「窓を少し開ければ大丈夫」も通じません。眠っている間は判断できないので車内の暖房は電気一択。ポータブル電源+電気毛布が安全で快適な冬装備の正解です。
Q. ポータブル電源はいつ買えばいい?最初から必要?
最初は不要です。まずエアマット10cm・全窓サンシェード・快適温度を満たす寝袋の3点を揃えれば「冬の車中泊、いける」という状態になります。ポータブル電源は2年目以降に「もっと楽したい」と感じてから導入で十分。3点で5〜15万円、電源で5〜8万円かかるので順番通りに揃える方が挫折しにくいです。