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磯に初めて立ったとき、正直怖かったです。

波が思ったより高くて、足元の岩が濡れていて滑る。防波堤の感覚で来てしまったのが間違いでした。磯釣りは安全対策が別の話だと、実際に立ってみて初めてわかった。

最初に磯際に降りた瞬間のことは今でも覚えています。足の裏に伝わってくる岩の硬さが、堤防のコンクリートとはぜんぜん違う。コンクリートはどこに乗っても平らだけど、磯の岩はそこら中がデコボコで、しかも海水と海藻でぬるっとしている。一歩ごとに「ここ滑らないかな」と確認しながら進むので、釣り場に着く前にもう疲れていました。耳の近くでドンッと波が砕ける音がして、しぶきが顔にかかる。塩の匂いがやたら濃くて、海が近いというより、海の中に半分入っているような感覚でした。

おれは10年以上釣りをやってきて、堤防やテトラ、渓流もそれなりに通ってきたつもりでした。だから磯くらいなんとかなるだろう、と心のどこかで思っていたんです。でも実際に立ってみると、今まで積み上げてきた釣りの経験が、安全に関してはほとんど役に立たないことに気づいた。魚を釣る技術と、生きて帰ってくる技術は別物なんだと、足元のヌルッとした感触で叩き込まれた感じでした。


磯釣りに必要な道具

磯で一番大事なのは安全装備です。竿でもリールでもなく、まず足元と命を守るものから揃える。これは順番を間違えると本当に危ないと、現地で痛感しました。

磯靴(スパイクブーツまたはフェルトスパイク)がないと滑って危ない。おれは最初、堤防で履いていた普通の長靴で行こうとして、先輩に「それで磯に立つ気か」と止められました。あとで濡れた岩に普通の靴底を当ててみたら、本当にスーッと足が流れていく。氷の上に立っているのと変わらない感覚で、あれを履いて波打ち際に立っていたらと思うとぞっとしました。スパイクは金属のピンで岩を噛む、フェルトスパイクはフェルトとピンの合わせ技で海藻のヌメリにも効く。どっちがいいかは行く磯の岩質しだいですが、初めての一足で迷うならフェルトスパイクを選んでおけば外しにくい、というのがおれの結論です。

ライフジャケットも磯では着用するのがルール。これは「念のため」ではなく、磯では落ちたら自分一人ではまず上がれないから着る、という話です。岩肌はぬるぬるで掴むところがなく、波があれば引き戻される。膨張式のコンパクトなやつより、磯では最初から浮力体が入っているフローティングベストのほうが安心だと先輩に言われて、その通りにしました。動きやすさと安心感が両立していて、結果これは正解だったと思っています。ハードな磯は経験者の案内なしで行かない、が基本です。

釣り道具はフカセ釣りの場合:

  • 磯竿(1〜1.5号・5〜5.3m)
  • スピニングリール(2500〜3000番)
  • ウキ・仕掛け一式
  • コマセ(オキアミ・配合エサ)

最初に道具をそろえるとき、つい竿やリールにお金をかけたくなる気持ちはよくわかります。おれもそうでした。でも磯釣りに関しては、安いセット竿でも魚は釣れるけれど、安全装備をケチると取り返しがつかない。だから予算が限られているなら、磯靴とベストにまず回して、竿は入門クラスから始めるのがいいと思います。釣り具は後からいくらでもグレードアップできるけど、安全はその日一回きりの勝負だから。


グレを釣るためのフカセ釣り基本

グレは潮の流れに乗ってコマセと仕掛けを同調させるのが基本です。

コマセを先に投入してグレを寄せる→仕掛けをその流れに乗せて合わせる。この「同調」がフカセ釣りの肝で、最初はなかなかできません。おれも最初の二回は、コマセを撒く場所と仕掛けを投げる場所がバラバラで、たぶんグレからしたら「エサはこっち、針はあっち」という間抜けな状態になっていたんだと思います。先輩に横で見てもらって初めて、コマセが流れていく筋と、ウキが流れていく筋を重ねるんだと教わった。言葉で書くと一行ですが、潮は目に見えないので、これがなかなか頭と手で一致しない。

潮の流れを読むのも、最初はまったくわかりませんでした。海面はどこも同じに見えるのに、よく観察すると、泡やゴミがすーっと一定方向に動いている帯がある。そこがコマセの乗る道で、その筋にウキを乗せると、ウキがちゃんと潮に引かれて動いていく。逆に流れの外に投げると、ウキがその場で止まったり、変な方向にふらついたりする。これを目で見分けられるようになると、フカセ釣りはぐっと面白くなる。最初のうちは釣れなくても、「今ウキが潮に乗ってるか乗ってないか」だけをずっと観察しているだけで勉強になりました。

アタリはウキが沈む動き。すっと入ったら合わせを入れる。ただ、グレのアタリは堤防のサビキみたいに分かりやすくガクッとは来なくて、ウキの頭がスーッと吸い込まれるように静かに消える。最初はそれがアタリなのか、ただ潮で沈んだだけなのか区別がつかなくて、何度も空合わせをしました。引きは想像より強く、25cmそこそこの魚とは思えない突っ込み方をしてくる。磯際の根に向かってグイグイ走るので、ラインを切られないようにドラグを少し緩めておくのが安全です。締めすぎると一気に持っていかれて、緩めすぎると今度は根に巻かれる。このさじ加減も、何匹かバラして体で覚えていくしかないんだと思います。



初めて磯でグレが釣れた瞬間

3回目の磯釣りでした。1回目は怖さで半分腰が引けていて、2回目は同調がまるでできずにボウズ。正直「磯はおれには向いてないのかも」と少し諦めかけていた、その3回目です。

同行した先輩の教えに従って、コマセの量を増やして足元から遠めの流れに乗せた。それまでは「コマセがもったいない」とちまちま撒いていたんですが、先輩に「足りないよりは撒いておけ」と言われて、思い切って多めに入れたんです。すると、それまで反応のなかったポイントの周りに、なんとなく魚の気配が出てきた。ウキがすっと沈んで合わせたら、明らかに今までと違う引き。竿先が一気に絞り込まれて、磯際を走って、なかなか上がってこない。

頭の中では「根に巻かれるな、でも切られるな」と先輩の言葉がぐるぐる回っていて、手はガチガチ。ドラグがジジッと鳴るたびに心臓が跳ねました。慎重に、でも主導権は渡さないように寄せてきて、最後に磯際まで来たやつをタモですくった瞬間、思わず声が出た。釣り上げたのは25cmくらいのグレ。サイズだけ言えば、堤防でもっと大きいのを釣ったことはあります。でも、怖い思いをして、二回ボウズを食らって、それでも通って、ようやく自分の組み立てで掛けた一匹は、数字では測れない重さがありました。小さいけれど、磯で釣れた充実感は別格でした。手の中でバタバタ暴れる魚を見ながら、これだから釣りはやめられないな、と思ったのを覚えています。


磯釣りをするときに気をつけること

波の予報を必ず確認する。波高1m以下の日から始めることをおすすめします。これは「快適に釣るため」ではなく「死なないため」の数字だと、おれは現地で思い知りました。1回目に行ったとき、堤防のノリで予報をろくに見ずに行ったら、思っていたより波があって、足元まで何度もしぶきが上がってきた。あのとき、たまたま大きいセットの波が来なかっただけで、運が悪ければ岩から引きずり落とされていたかもしれない。そう考えると、予報を甘く見ていた自分が本当に怖くなりました。

それと、波は一定のリズムでは来ないということ。小さい波が何回か続いたあと、急にひと回り大きいやつがドンと来る。これを知らずに「さっきまで穏やかだったから」と波打ち際ぎりぎりに立っていると、その大きいセットでさらわれる。だから立ち位置は、一番大きい波が来てもかぶらない一段高いところに取る。これも先輩に口を酸っぱくして言われたことです。

単独で行かない。磯に慣れた人と一緒に行って、安全な立ち位置や波のパターンを教えてもらうのが大事です。一人だと、もし足を滑らせて動けなくなっても、誰も気づいてくれない。釣果より先に「何かあったとき隣に人がいるか」を考える。これは堤防では意識しなかった発想で、磯に通うようになって初めて身についた感覚でした。

落水した場合を考えて、ライフジャケット着用は絶対。磯専用のフローティングベストが動きやすくていいです。膨張式と違ってかさばるぶん、ポケットに小物を入れられるし、岩にこすっても穴が開いて萎むという心配がない。動きやすさで言えば膨張式に分があるけど、磯みたいに岩にぶつけがちな場所では、おれは多少ごつくても固定浮力のベストのほうが安心して動けます。


まとめ

磯釣りは道具より先に安全の準備が必要。でも一度釣れると、ほかの釣りとは違う達成感があります。

10年以上いろんな釣りをやってきて、これだけ「釣る前の準備」が大事だと感じた釣りは初めてでした。逆に言えば、安全さえちゃんと固めてしまえば、磯はそのぶん豊かな景色と引きを返してくれる。最初の一回でビビってしまったおれが言うのもなんですが、慎重なくらいでちょうどいいです。

まぁ、怖い思いをして慎重になったのが結果的によかったかもしれない。これから始める人には、おれと同じ「ヒヤッ」を味わう前に、足元とベストだけは先にそろえてから磯に立ってほしいなと思います。


磯釣りについてよく聞かれること

Q. 磯靴はスパイクとフェルトスパイクどちらがいいですか?

岩がコケや海藻で滑りやすい磯ではフェルトスパイクが有利です。乾いた岩が多い場所はスパイクのみでも対応できます。最初の一足はフェルトスパイクを選ぶのが無難です。

Q. 一人で磯に行くのは危険ですか?

初めての磯は必ず経験者と行ってください。波のパターン・立ち位置・逃げ場の確保など、「見ればわかること」が現地にはたくさんあります。磯に慣れるまでの数回は先輩に同行を頼むのがいちばんの安全策です。

Q. コマセはどのくらいの量を持っていけばいいですか?

半日釣行なら生オキアミ3kgブロック1枚+配合エサ1袋が目安です。コマセを切らすとグレが散ってしまうので、足りなくなるよりは多めに持っていくほうがいいです。

Q. ウキはどのサイズを選べばいいですか?

最初は0号か00号の感度のいいウキが基本です。風や潮流が強い日は軽いガン玉を打って安定させます。フカセ釣りのウキは奥が深いですが、まずは1種類を徹底的に使いこなすほうが上達が早いです。

Q. グレとチヌでは攻め方が違いますか?

グレは表層から中層を回遊するので流しながら攻めます。チヌは底付近を探ることが多く、ガン玉を多めに打って仕掛けを沈めます。同じポイントで両方狙えることもありますが、どちらかに絞った攻め方のほうが釣果は出やすいです。


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