真夏の渓流で、人工物が何もない冷たい水の沢に立ったことがありますか?
都市部から片道3時間かけてバイクで山に入って、林道を歩いて、ようやく沢に着く。川の水が信じられないくらい冷たくて、空気が澄んでいて、川の音しかしない。「ここは自分だけの場所だ」という感覚が不思議なくらい強くある。
5年前、渓流釣りを始めたばかりのころ、岩場で滑って膝を擦りむきました。
血が出たけど大したことはなく、テーピングして釣りを続けた。それが渓流釣りとの最初の記憶です。あの日からずっと、夏になるとその沢のことを考えるようになりました。
通っている沢のこと
場所は書けないけど、セロー225で林道を1時間ほど走って、そこから15分ほど歩いた先にある沢です。
地図に名前のない支流で、幅は広いところで3〜4m程度。深いところでも膝くらいまでの水深しかない。そのくせ水が冷たくて、7月でも手を突っ込んだら1分も耐えられない。
普段は人がいない。駐車スペースと呼べるような場所もないから、車では到達できない。バイクで来て、歩く、というアクセスでないと入れない場所です。
アプローチの難しさ
林道を走って、藪をかき分けて入渓する。ウェーダーを履いてから沢を遡上する。
一見シンプルだけど、実際は体力も使うしルート判断も必要です。
倒木があれば越えるか巻くか判断する。深みが読めないところは足先で確認しながら進む。岩はコケでぬかるんでいることが多くて、一歩一歩確かめながら歩く。スネのあたりまで水に浸かりながら遡上するのは、真夏でも体が冷える。
でも、このアプローチが面白い。
釣りに行く前に「山に入っている」という感覚があって、それが沢の奥まで来ると充実感になる。なんとも言いにくいけど、「ここまで来た」という達成感みたいなものが先にある。
ポイントの読み方
渓流のイワナは、流れが淀んでいる場所に着きます。
岩陰、落ち込みの直下の泡立っている場所、緩い流れに急な流れが合わさるポイント。そういうところに定位して、流れてくる虫を待っている。
テンカラで狙うとき、毛針を流れに乗せて自然に流すのが基本です。流し方が不自然だと出ない。ドラッグがかかってラインが弓なりになっていると、イワナはほとんど反応しない。
ラインをたるませて流す「ナチュラルドリフト」ができるかどうかが、釣れる釣れないを分けます。自分がこれを意識するようになったのは2年目からで、それからは釣果が安定してきました。
イワナが出た瞬間の緊張感
水面直下を毛針が流れていって、突然魚影が走る。
その瞬間の集中感は、他の釣りではなかなか味わえない。川の水音しか聞こえない静かな場所で、水中の一点だけを見ている。イワナが飛び出してくる0.5秒前に体が反応している感じがある。
釣れた瞬間よりも、「出た」と思った0.1秒のほうが脳に強く残ります。
夏しか行けない理由
自分がこの沢に行けるのは7月〜8月末の2ヶ月弱だけです。
渓流の禁漁期間が地域によって違うけど、この沢は9月に入ると禁漁になる。春は雪解け水で増水していてとても入れる状態じゃない。だから夏の2ヶ月だけ、年に2〜3回行く。
それでも「夏はあそこに行く」という楽しみが1年中あって、6月後半になると道具を確認し始める。
持っていく道具
最低限で行くのが渓流釣りのスタイルです。
- テンカラ竿(3.3m前後のパックロッド)
- レベルラインとハリス
- 毛針(数種類・自作と市販半々)
- ウェーダーとウェーディングシューズ
- ライフジャケット代わりの浮力素材
- 小型の魚籠(リリースする場合は不要)
ルアーで釣る場合も同じような構成で、スピナーやスプーンを追加するくらい。
コンパクトなパックロッドは4〜5本継ぎのものが多くて、折りたたんでザックに入れて運べるのが便利です。渓流歩きには両手を使うシーンが多いので、リュック収納ができる道具を選ぶのが大事。
Q&A よくある質問
Q. 渓流釣りは初心者でも始められますか?
A. 始められますが、ウェーダーを履いて川の中を歩く体力と、川の読み方の基礎知識が必要です。最初は先輩に連れて行ってもらうか、管理釣り場で渓流釣りの感覚を掴んでから本流・渓流へ進むのが無難です。
Q. テンカラとフライ、どっちがおすすめですか?
A. 道具の簡単さならテンカラです。竿1本・ライン・毛針で完結するので荷物が少ない。フライは道具の習得に時間がかかりますが、技術的な深さがある。バイク釣行なら積載の少ないテンカラが特に向いています。
Q. 渓流釣りで一番重要な技術は何ですか?
A. ナチュラルドリフトです。毛針やルアーを自然な流れに乗せて不自然な動きをさせないこと。ラインにテンションが入りすぎてドラッグがかかると、イワナはほぼ反応しません。ここを習得できると一気に釣果が安定します。
Q. 夏の渓流釣りで気をつけることは何ですか?
A. 増水と滑落です。前日の雨で水量が増えているときは無理に入渓しない。フェルトソールのウェーダーでも渓流の岩は滑ります。単独釣行では特に慎重に。スマホの電波が届かない場所がほとんどです。
Q. 禁漁期間はいつですか?
A. 地域と河川によって異なります。多くは9月〜2月ごろが禁漁期間。管轄の漁業組合または都道府県の水産部門サイトで確認してください。遊漁券も必要です(通常1日券500〜1,000円程度)。
まぁ、楽しけりゃいいよね。