車中泊で一番最初に困ったのは、洗濯でも料理でもなく、「どこでシャワーを浴びるか」でした。
朝マズメを狙って前日の夜から現地入りして、半日竿を振って、汗だくになって、さあそのあとどうするか。釣りそのものはあれこれ調べて準備していくのに、風呂のことだけスポッと抜けていて、初めての遠征のときに車の中で「あれ、おれ今日どこで体を洗うんだ?」と真顔になったのを今でも覚えています。
1泊なら我慢できるけど、3泊以上の遠征になると清潔問題は切実です。汗と潮と、餌や魚を触った手のにおいが体にしみついてきて、二日目の夜あたりから自分でも気になってくる。狭い車内だとなおさらこもります。最初の数回は行き当たりばったりで、結局コンビニで体拭きシートを買って終わりにした夜もありました。それでも何回か遠征を重ねるうちに、入浴・洗濯・歯磨きそれぞれに「これでいい」という落としどころが見えてきたので、おれが実際にやってる解決策を一通り書いていきます。
先に言っておくと、難しいことは何ひとつないです。ただ、現地で困ってから探すか、計画段階で決めておくかで、遠征のしんどさがまるで変わる。そこだけは伝えたい。
入浴問題の解決策
日帰り温泉・銭湯を使う
最も確実な解決策です。おれの中では、これがもう完全に第一候補になっています。
全国に日帰り温泉・公衆浴場があり、1回500〜1,000円程度で入浴できます。釣り場の近くにあることが多い。海沿いの観光地寄りの場所だと、夕方から夜まで開いている温泉が意外とあるんですよね。冷え切った体で熱い湯に肩までつかると、半日ぶんの疲れがすーっと抜けていく。あの瞬間のためだけにわざわざ温泉のある釣り場を選ぶことすらあります。
探し方:「〇〇地域 日帰り温泉」でGoogle検索、またはスーパー銭湯チェーン(極楽湯・おふろの国など)が全国展開しているので事前に確認しておくとよい。
ここで一個だけ注意があって、地方の温泉は閉まるのが早い。夜8時とか、早いところは7時で受付終了みたいな施設もあって、釣りに夢中になってると平気で間に合わなくなります。おれも一回、いい時合に当たって竿が止められなくて、気づいたら近くの温泉が全部閉まってた夜がありました。あのときの「しまった」感はけっこう堪える。だから今は、入りたい温泉の営業時間を必ず先に調べて、「この時間までに切り上げる」と心の中で線を引いてから釣り始めるようにしています。
釣行計画を立てるときに「その日の夜はどこで風呂に入るか」を一緒に考えておくと、当日に困りません。風呂を起点に逆算すると、結果的に釣りの段取りまで整うので、めんどくさがらずやる価値はあると思ってます。
シャワー付き道の駅・RVパーク
一部の道の駅やRVパークにはシャワー設備があります。
コイン式(5分100円など)が多い。入浴ほど気持ちよくないですが、短期の釣行ならこれで十分です。湯船にゆっくり、とはいかないけど、汗と潮を流すだけならこれで必要十分。むしろ「とにかく塩気を落としたい」という目的に絞れば、温泉まで探して回るより手っ取り早いくらいです。
ただコイン式は時間との戦いで、5分だと体を洗って流すだけでもう終わる。のんびり髪まで洗おうとすると途中で水が止まって慌てる、ということがおれは実際ありました。だから今は、シャワー室に入る前にあらかじめ手順を頭で組んでおく。先にシャンプーを手に取っておいて、コインを入れたら一気に流す。せこい話ですけど、これだけで2回目以降は失敗しなくなりました。タオルや着替えも先に取り出しておかないと、濡れた手で荷物をかき回すことになります。
ジムやスポーツ施設
コナミスポーツ・セントラルスポーツなどのフィットネスクラブは、一日体験利用(1,000〜1,500円程度)でシャワーが使えることがあります。
特定の地域に長期滞在する場合はこの手もあります。同じ釣り場に何日か通うような遠征のとき、一回ビジターで入っておけば、シャワーだけじゃなくちょっと体を動かして固まった腰をほぐすこともできる。長時間の運転と、磯場でずっと同じ姿勢でいると、おれの年だと腰がてきめんに来るので、これが地味にありがたいんですよね。向き不向きで言えば、一泊二泊のサクッとした遠征には大げさで、温泉か道の駅のほうが早い。逆に拠点を決めて連泊するスタイルの人には、選択肢として持っておいて損はないと思います。
洗濯問題の解決策
コインランドリーを使う
2〜3日分の衣類を一度にコインランドリーで洗う。おれが一番楽だと思ってるのはこれです。
洗濯〜乾燥まで1時間程度、コスト800〜1,200円程度。釣行前にコインランドリーの場所を地図で確認しておくと当日スムーズです。何がいいって、回している1時間がまるまる空き時間になること。その間に近くで飯を食ったり、車で軽く仮眠を取ったりできる。半日釣りをしたあとの体には、この強制的な休憩がちょうどいいんですよね。洗濯機を回しに来たはずなのに、ベンチでうとうとして気づいたら乾燥まで終わってた、なんてことも何度もあります。
注意点としては、夜遅い時間だと先客がいて待たされることがある。釣り人がよく使うエリアのランドリーは、同じことを考えてる人が案外いるんです。だから「乾燥まで含めて1時間」と読んでいても、満杯だと一台空くのを待つぶん後ろにずれる。時間に余裕がないと、ここで予定が押します。
洗濯不要の枚数を持参する
1日1着×日数分の下着・靴下を持参して、洗濯せず済ますという方法もあります。
圧縮袋に入れれば荷物は増えにくい。釣りウェアは速乾性のものを選んでおくと、翌日には乾く場合もあります。要するに「洗わなくて済むなら、それが一番手間がない」という発想です。二泊くらいまでの短い遠征なら、おれもだいたいこっちで済ませてしまう。ランドリーを探す手間も、回す1時間も省けるので、トータルで見ると意外とこれが効率いい。
向いてるのは、移動が多くて腰を落ち着けない遠征。あちこちポイントを回るスタイルだと、ランドリーに張りつく1時間がもったいないので、最初から洗わない前提で枚数を積んでおくほうが気が楽です。逆に同じ場所に長く居るなら、毎回着替えを持ち込むより、まとめて洗ったほうが荷物が軽くなる。日数と動き方で使い分けると決めておくと、出発前のパッキングで迷わなくなります。
簡易洗いをする
洗面器や大きめのビニール袋に水と洗剤を入れて手洗いする方法。
釣りソックスや下着程度なら車内で洗って干せます。速乾性の下着は翌朝には乾く。コツは、洗ったあとにしっかり絞ること。生乾きのまま車内に干すと、あの独特の雑巾みたいなにおいが残って、せっかく洗ったのに逆効果になります。おれは最初これで失敗して、洗ったはずの靴下が翌朝もっと臭くなってて愕然としたことがある。タオルで挟んで体重をかけて水気を抜いてから干すと、乾きも早いし、においも出にくいです。
それと、干す場所。窓のフックにかけたり、車内に渡したロープに吊るしたりするんですが、走行中に落ちて運転席に飛んでくると地味に危ない。停車中だけ干す、と割り切ってしまうのが安全です。あくまで「ランドリーに行くまでのつなぎ」「下着一枚二枚を回す」くらいの規模で考えておくのがちょうどよくて、ここで全部の洗濯を完結させようとすると、かえってしんどくなります。
歯磨き・洗顔
歯磨きはコンビニや道の駅のトイレを使うのが基本です。マナーとして、混んでる時間帯を避けて、洗面台を長く占領しないようにだけ気をつけています。携帯用の小さい歯ブラシと、小分けの歯磨き粉を一個ダッシュボードに入れておくと、思い立ったときにサッと済ませられて便利。
洗顔は水のいらない洗顔シート(拭き取りタイプ)が便利。朝の支度時間が短縮されます。これがおれの中では地味な革命でした。朝マズメは一分一秒が惜しいので、顔を洗うために水を出して、拭いて、という手順がまるごと省けるのは大きい。寝起きでまだ頭がぼんやりしているうちに、シート一枚で顔をぬぐえば目が覚めて、そのまま竿を持って出られる。
ただ、肌が弱い人だと拭き取りタイプの洗顔シートやボディシートで突っ張ったりヒリつくことがあるみたいなので、そこは自分の肌と相談してほしいところ。おれはわりと丈夫なほうなので何でも平気ですが、合う合わないはありそうです。何枚か試して、自分に合う一枚を見つけておくと遠征が楽になります。歯磨きも洗顔も、要は「水場がなくても完結できる形」に道具を寄せておく、というのが車中泊での基本方針かなと思っています。
車内のにおい対策
長期間の車中泊では車内のにおい(汗・釣り道具・食品)が気になります。狭い箱の中で寝起きするので、一度こもったにおいはなかなか抜けない。とくに釣り道具のにおいは強烈で、餌のにおいや、魚を触ったあとのタモやクーラーのにおいが、油断するとシート全体に移ります。自分では慣れて気づかなくなるんですが、久しぶりに乗った家族が「この車、なんかにおうね」と言って、はじめてハッとする。あれは地味にこたえます。
おれが落ち着いた対策は、結局この3つの組み合わせでした。
- 換気:睡眠中も少し窓を開けて換気する(防虫ネットがあると便利)。空気を動かすのが一番効く。窓を閉め切ったまま寝ると、朝起きたとき車内の空気が完全によどんでいて、自分の汗のにおいで目が覚めることすらあります。
- 消臭剤:車用消臭剤をシートのサイドに置く。これは「におわなくする」というより「ひどくなる前に抑える」くらいの位置づけで考えておくと過度な期待をせずに済みます。
- 食品の管理:匂いの強い食品はクーラーボックスに密閉。開けっぱなしのお菓子の袋や、飲みかけのコーヒー、食べ残しなんかが、夏場だと一晩でにおいの元になります。
順番をつけるなら、まず換気、次に食品の管理、最後に消臭剤、という優先度です。換気をサボって消臭剤だけ増やしても、根本のこもりは取れない。空気を動かして、においの発生源を絶って、それでも残るぶんを消臭剤でなだめる。この順番を意識するようになってから、車内のにおいで悩むことはほぼなくなりました。
清潔問題をルーティン化してしまえば、長期遠征も快適になります。
最初のころは、これだけのことがいちいちストレスでした。風呂はどこだ、洗濯はどうする、顔も洗えてない——そういう小さな不快が積み重なると、せっかくの釣りまで楽しめなくなる。でも一回「自分の型」を作ってしまえば、あとは毎回それをなぞるだけ。温泉の場所を先に押さえて、洗濯はランドリーか持参で割り切って、洗顔はシート一枚。考えなくても手が動くようになると、清潔のことで悩む時間がまるごと消えて、頭の中が釣りのことだけになります。
結局のところ、車中泊の快適さって、特別な装備より「困りごとを先回りして潰しておく段取り」で決まる気がしています。完璧を目指さなくていい。自分が許せるラインさえ決めておけば、3泊でも4泊でも全然平気。むしろ多少のワイルドさも込みで楽しめるようになる。まぁ、楽しけりゃいいよね。
よくある質問
Q. 車中泊遠征中の入浴はどうするのがいちばん確実ですか?
日帰り温泉や銭湯を使うのがいちばん確実。事前に「〇〇地域 日帰り温泉」で調べておいて、釣行計画に組み込んでしまうのが正解。遠征前に決めておかないと当日バタつくんでそこだけ注意です。
Q. 洗濯はどうしていますか?コインランドリー?
おれは2〜3日分まとめてコインランドリーで洗う方法が一番楽だと思ってる。洗濯〜乾燥で1時間くらい、コスト1,000円前後。その間に飯食ったり仮眠取ったりできるから無駄がない。
Q. 歯磨きや洗顔はどこでやりますか?
歯磨きはコンビニや道の駅のトイレが基本。洗顔は拭き取りタイプの洗顔シートがかなり便利で、水がいらないから時間もかからない。朝マズメの直前でもサッと使えるのがいい。
Q. 車内のにおいが気になります。対策はありますか?
換気・消臭剤・食品の密閉管理の3つを組み合わせるといい。特に睡眠中の換気が重要で、防虫ネットを窓に取り付けておくと虫を気にせず換気できる。釣り道具のにおいはクーラーボックスに密閉が一番効果的です。
Q. 速乾下着を使うメリットは何ですか?
化繊の速乾インナーは洗ったその夜のうちに乾くものが多くて、翌朝には使える状態になってる。抗菌処理入りを選べばにおいの問題も抑えられるから、3泊以上の遠征でも枚数を減らせて荷物が軽くなる。